
シロアリが心配なので、『屋根カバー工法』ではなく『屋根葺き替え工法』にしましょう。



シロアリがいたら困るから『葺き替え』にしようかな?



ん?どういうこと?
シロアリを理由に、「屋根カバー工法」より費用が高い「屋根葺き替え工法」を勧める業者さんがいます。
確かに、シロアリが発生しているかどうか、屋根を剥さないとわからないと思うかも知れませんが、本当に葺き替え工法ならシロアリ被害を発見できるのでしょうか?



この記事にはシロアリの写真が出てきます。虫が苦手な方は閲覧にご注意ください!
シロアリとは
シロアリは「アリ」と呼ばれていますが、アリとは食性も生態も全く異なるゴキブリが祖先の昆虫です。
アリは【女王アリ】を中心としているのに対し、シロアリは【女王アリと王アリのペア】を中心に活動しています。大きな巣の中で多数の働きアリと兵アリ等で社会生活を行っており、階級によって体の形や大きさが異なります。働きアリと兵アリがある程度増える=コロニー(巣)が大きくなると「ニンフ」と呼ばれる幼虫が羽アリとなって飛び立ち、新たな巣を作ることで繁殖していきます。
日本には約22種類のシロアリが生息しており、大半は益虫(倒木を食べて森を守ってくれる『=森の分解者』です。
家屋に被害を及ぼすのは3種類ほどで、そのうちの8〜9割をヤマトシロアリが占めます。
ヤマトシロアリ




北海道を除き、ほぼ全国に生息しています。
自分で水を運ぶ能力が無いため、朽木や湿って腐りかけた木材を好み、浴室や湿気の高い床下など建物の下部に巣を作ります。
木材の内側の柔らかい部分を好んで食べ、硬い外側は残します。
行動範囲が狭く建物全体には広がりにくいですが、雨漏りや結露など湿った部分があると、そこに蟻道を作って二階や屋根裏(建物の下から上へ)に行くことができます。
北海道を除き、ほぼ全国に生息しています。




自分で水を運ぶ能力が無いため、朽木や湿って腐りかけた木材を好み、浴室や湿気の高い床下など建物の下部に巣を作ります。
木材の内側の柔らかい部分を好んで食べ、硬い外側は残します。
行動範囲が狭く建物全体には広がりにくいですが、雨漏りや結露など湿った部分があると、そこに蟻道を作って二階や屋根裏(建物の下から上へ)に行くことができます。
移動や巣作りの過程で、断熱材に穴を開けたり電気コードやプラスチックをかじったりします。
マツ系の木を好みますが、食欲はあまり旺盛ではないので、加害は緩やかです。
羽アリは4月~5月の昼間に飛び立ちます。
イエシロアリ




生息の割合は少ないですが、繁殖力が強く食欲旺盛なイエシロアリ。
関東(千葉県以西の海岸線)から九州にかけて幅広く、温暖な地域に生息。しかし近年では温暖化の影響で生息範囲が徐々に拡大してきています。
ヤマトシロアリと違い、自分で水を運ぶことが出来るため活動範囲が広く、乾燥した屋根裏まで移動することが可能です。
生息の割合は少ないですが、繁殖力が強く食欲旺盛なイエシロアリ。




関東(千葉県以西の海岸線)から九州にかけて幅広く、温暖な地域に生息。しかし近年では温暖化の影響で生息範囲が徐々に拡大してきています。
ヤマトシロアリと違い、自分で水を運ぶことが出来るため活動範囲が広く、乾燥した屋根裏まで移動することが可能です。
古材より新材の梁や桁など太い構造材を好み、食欲が旺盛なために加害の進行は急激で、被害が家屋全体に及ぶと家が倒れる可能性があります。
羽アリは6月~7月の夜に飛び立ちます。
アメリカカンザイシロアリ


下が職アリ/またはニンフ(全長5mm~8mmほど)


アメリカカンザイシロアリは、江戸川区で定着確認され徐々に広がってきている外来種です。
建物以外に家具類を食べるため、輸入家具から日本に侵入してきたのではと考えられています。
土の中に巣を作るヤマトシロアリやイエシロアリと違って、乾燥した木材に巣(孔道)を作り集団で生息しており、被害材の排出孔から乾いた砂粒状の糞を排出する特徴があります。
アメリカカンザイシロアリは、江戸川区で定着確認され徐々に広がってきている外来種です。


下が職アリ/又はニンフ(全長5mm~8mm位)


建物以外に家具類を食べるため、輸入家具から日本に侵入してきたのではと考えられています。
土の中に巣を作るヤマトシロアリやイエシロアリと違って、乾燥した木材に巣(孔道)を作り集団で生息しており、被害材の排出孔から乾いた砂粒状の糞を排出する特徴があります。
加害は建物全体に及び、加害箇所によっては耐震強度が著しく低下する可能性がありますが、食害の進行が遅く、早期発見するのは難しいと言われています。
羽アリは6月頃~10月頃の日中に飛び立ちます。
シロアリのまとめ
●被害を及ぼす主なシロアリは「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」「アメリカカンザイシロアリ」の3種類
●家屋に被害を及ぼす8〜9割はヤマトシロアリ
●水を運ぶ能力がないヤマトシロアリは、雨漏りや結露がない限り建物の上へ行くことが出来ない
●シロアリは基本的に建物の下から上へ向かう



こんなところをチェックしてみよう!
4月〜10月頃にかけて家の周りで羽アリをたくさん見かけた場合は、そばに大きなシロアリの巣が出来ている(巣立つ羽アリがいる=巣が成熟した)恐れがあるので要注意です。


4月〜10月頃にかけて、家の周りで羽アリをたくさん見かけた場合は、そばに大きなシロアリの巣が出来ている(巣立つ羽アリがいる=巣が成熟した)恐れがあるので要注意です。


また、建物の床がフワフワしていたりギシギシ軋む場合は、床下の木材がシロアリの食害に遭い空洞になっている可能性があるため、専門業者に調査をしてもらうことをオススメします。


また、建物の床がフワフワしていたりギシギシ軋む場合は、床下の木材がシロアリの食害に遭い空洞になっている可能性があるため、専門業者に調査をしてもらうことをオススメします。


屋根葺き替え工法でシロアリが見つかる?



シロアリの知識が深まったところで、最初の疑問「葺き替え工法でシロアリが見つかるのか?」を考えてみるよ
屋根の構造は、下から順に ①垂木 ②野地板 ③下葺き材 ④屋根材 で構成されています。


屋根葺き替え工法の施工方法は、④屋根材を撤去したあと、③下葺き材の上に新しい野地板を貼り、その上に新しい下葺き材と屋根材を葺きます。
つまり、古い野地板は剥さないのです。





あれ?古い野地板は剥さないの?



野地板の交換は躯体に関わるから、普通のリフォーム会社は剥さないと思うよ
もし、野地板を交換しないのであれば、屋根葺き替え工法でもシロアリ被害は見つからない可能性が高いです。



うっかり騙されて必要のない工事をするところだったわ
だからと言って、屋根工事を検討する際にシロアリ被害を気にせずにはいられないですよね?
シロアリ被害を防ぐには?



雨水の侵入を防ぐのがシロアリ被害を防ぐ一番の方法だね



それには定期的な屋根のメンテナンスがとても大事なんだよ!