瓦の種類 和瓦/洋瓦
和瓦(日本瓦)


和瓦は、日本瓦とも呼ばれ粘土を瓦形に成形し焼いて作ります。釉薬(ゆうやく=うわ薬)をかけて高温で焼き上げた「釉薬瓦/陶器瓦」と、釉薬を塗らずにそのまま焼き上げた「無釉瓦/いぶし瓦/素焼瓦/塩焼瓦」などに分けられます。
「陶器瓦」は、釉薬がガラス質になっていて水分を弾くので水が浸透することはありません。耐久性にすぐれていて、基本的に塗装の必要はありません。
「無釉瓦」は吸水性があり湿気を吸ってくれます。夏場は吸水した水が気化することで打ち水のような効果があり、屋根を涼しく保つことが出来ます。しかし、日当たりの悪い場所では瓦の表面にコケが生えやすかったり、寒い地域では吸い込んだ水分が凍って膨張し、瓦が割れてしまう可能性があります。
和瓦は、Japaneseの頭文字から「J形瓦」とも呼ばれ、伝統的な波形の形をしています。

日本三大瓦とは

一つ目は、「石州瓦(せきしゅうがわら)」。
島根県の石見地方で生産されている粘土瓦で、鉄を多く含む出雲地方の「来待石(きまちいし)」を釉薬に使っているので独特の赤褐色になる。
凍害、塩害に強く、経年変化による変色がしにくい瓦です。
二つ目は、「三州瓦(さんしゅうがわら)」。
愛知県で生産されている粘土瓦で、日本の年間瓦生産総数の約60~70%を占めています。「いぶし瓦」「釉薬瓦」「塩焼瓦」などの瓦を作っていて、東京歌舞伎座は、この「いぶし瓦」を葺いています。


三つ目は「淡路瓦(あわじがわら)」。
兵庫県淡路地方で生産されている粘土瓦。淡路の気候と風土でしか出すことのできない「なめ土」と呼ばれる粒子の細かい粘土が「いぶし瓦」を作るのに適しており、生産量は全国一を誇っています。
「いぶし瓦」は焼き上げの最後に燻すことで炭素を付着させて銀の色を出します。「無釉瓦」に分類され、「釉薬瓦」と違って割っても中まで銀色になっています。
洋瓦
洋瓦とは、本来は海外から輸入された『本国の土を使って製造した』瓦のことを言いました。
しかし段々と、大正時代に輸入されていた「フランス瓦」や「スペイン瓦」を真似して日本風にアレンジした「和瓦」の事を「洋瓦」と呼ぶようになりました。
明治の初めにフランス人のアルフレッド・ジェラールさんが日本で洋風建築物を作るために、横浜の工場でフランス形の瓦「ジェラール瓦」を製造し始めました。凹凸が少なく、平らなデザインが特徴です。

大正時代には、スペイン産の「スパニッシュ瓦」が輸入されました。スペインの太陽を浴びた土そのままの色を出しているため、ひとつとして同じ色がないと言われています。ヨーロッパの伝統的な「バレル瓦」の形で、上丸と下丸の組み合わせにより自由な表現ができます。


日本で発展したフランス瓦を「F形瓦/平板瓦」、スパニッシュ瓦を「S形瓦」と呼びます。
下記は三州瓦で有名なマルスギ株式会社の瓦です。F形瓦には「F形Uタイプ」「F形Fタイプ」「F形Mタイプ」があります。※F形のFは「フラット」の意味とも言われています。



和瓦と洋瓦の見分け方
瓦のことをたくさん調べましたが、「和瓦」と「洋瓦」を単体で見分けるのはとっても難しい印象でした。
今まで、「和瓦」は神社のような昔ながらの灰色屋根、「洋瓦」は南欧風の赤やオレンジ屋根と思っていましたが、「和瓦」でもピンクや緑の釉薬を塗ってあったり、「洋瓦」でも銀色に塗装されていたり、色では見分けられないようでした・・・
そんな中で、素人が簡単に見分けられる方法!それは、屋根の造りを見ることです。


和瓦の屋根は、「冠瓦・のし瓦・鬼瓦・軒瓦」など洋瓦の屋根には見られない部位があります。また、瓦が「J形瓦」の形をしています。
洋瓦の屋根は、「棟・ケラバ・軒先」などが和瓦の屋根とは違い、瓦も「F形瓦」や「S形瓦」の形をしています。
○高い耐久性(50年以上長持ちするものもある)
○防水性が高い
○遮音性がある
○湿気がこもらず、屋根裏にカビなどが生えずらい
○部分補修が可能
○メンテナンス不要
○色褪せない
○スレートより燃えにくい
○和瓦、洋瓦などカラーバリエーションとデザインが豊富
○他の屋根材より高め(スレート屋根の1.5倍から2倍くらい)
○施工に手間がかかる
○重量があるので、地震に弱い
○台風や地震の時に、落ちて割れるなどの危険性がある
○新築時、瓦屋根を想定した構造にする必要がある

今回は粘土で作られた元祖「瓦」のお話でした。他の屋根材も読んでみてね☆