アスファルトシングル」は、北米やカナダでは普及率が80%以上と言われる、もっともポピュラーな屋根材の一つです。

【北米】アスファルトシングルの歴史

1800年代の初め、屋根材の主流は木や粘土・天然スレートでした。その後、fabric(繊維質のもの)にパインタール(松根タール)をコーティングして、表面に砂や貝殻の粉末を付けた屋根材も使われるようになりました。

ヒマラヤスギの屋根
粘土瓦の屋根
天然スレート屋根

1847年、Samuel M. Warren とCyrus M. Warrenという2人の屋根職人が「パインタール」の代わりに「コールタール」を使うことにしました。この時代、ガス燃料でライトを作る際に出る「コールタール」は安価で手に入りやすかったそうです。この頃のアスファルトシングルは重たい紙にコールタールをコーティングして、表面に砂をまぶしていました。

1893年、アスファルトシングルの先駆けとなる「asphalt prepared roofing」が出来ました。現在のアスファルトシングルに似ていますが、粒はついていませんでした。

その後、石油産業が発展し「コールタール」の代わりにcotton rag felt(フェルト紙)に「石油系アスファルト」を染み込ませ、スレートチップ(石などを砕いたもの)を付けたものが主流になりました。

1901年(サイトによっては1903年と書かれている)ミシガン州のHenry Reynolds が表面に石の付いたロール状のアスファルトシングルを、8インチ×16インチ(20.32cm×40.64cm)にカットしたシングル材を考案しました。

1914年頃、※アンダーライティング協会が火災損害保険から木の屋根材を対象外にしたことで、アスファルトシングルが普及していきました。

アンダーライティング協会とは・・・

生命保険会社は保険の加入申込に際し、申込書・現在および過去の健康状態が記載された告知書などの書類を元に審査を行い、引受の可否を決定します。この審査のことを「アンダーライティング」といいます。アンダーライティングを行うアンダーライターは個人やグループが持つリスクの程度を評価し、その保障を提供するかどうか決定します。また保障にあった適正な保険料を決定します。そのためアンダーライターは医学知識はもちろん、財務・法律などの幅広い知識が必要となります。

一般社団法人 日本アンダーライティング協会JPより

1920年頃、風によるダメージを少なくするため、アスファルトシングルの形をダイヤモンド状にしました。時を同じく、National Bureau of Standards(リサーチ協会)がアスファルトシングルのベース材に向いている材料を22種類試しました。が、結果はどれもあまり違いがなかったそうです。

1930年~40年頃、強風や台風への耐久性を上げるために、「T-lockシングル」と呼ばれる形が考案されました。初期のころのT-lockシングルは重くて、がっしりした作りでした。

※現在では、新しいシングル材が発展したり、部分修理が出来ず保険会社が対応してくれないなどの理由で生産が終了しているそうです。

T-lockシングルの屋根

1940年代、綿の価格高騰により、ベース材をrag felt(フェルト紙)からcelluloid-based felts(人工プラスチック素材)に替えました。

3つのタブに分かれているから3-タブシングルと呼ばれる

1950年代 屋根材自体に粘着剤を付けるようになり、風にあおられにくくなりました。

同じころ、屋根職人が、釘を使う代わりに3/4インチ(19.05mm)のホチキスを6カ所に打つことで風のダメージに耐えられるかを実験しました。現在でもアスファルトシングルの固定方法は「釘」または「ステープル」が使われています。

さらなる研究が重ねられ、12インチ×36インチ(30.48cm×91.44cm)の3-タブシングルが主流となりました。

1960年代、ベース材がcelluloid-based felts(人工プラスチック素材)からfiberglass(ガラス繊維)に代わりました。初期のガラス繊維は、軽くて柔軟性があり火に強い代わりに、とても繊細で施工時に壊れやすく、寒い地域では風や雹などに弱いという欠点がありました。

1970年の終わりごろには、fiberglassは発展を遂げ上記のような問題はなくなりました。現在、アスファルトシングルの95%がfiberglass(ガラス繊維)をベース材として製造しています。

アスファルトシングルの形状は主にこの3つ

①3-tab shingles(3-タブシングル)
②dimensional shingles
(立体的シングル)
③Premium shingles
(プレミアムシングル)

①の「3-タブシングル」は初期から作られている一番スタンダードな形です。手ごろな価格で軽量、20年位の耐久性があります。見た目のオプションが少ないのと風に対する耐久性が低いことから、現在の新築ではあまり見かけないそうです。

②は、2枚のレイヤー層がくっついて立体的に見えることから「立体的シングル」と呼ばれています。耐久性が高く、30年以上もつと言われています。価格は①より2割くらい割高ですが、2010年度アスファルトシングル市場の4分の3はこの形だそうです。

③の「プレミアムシングル」は、天然スレートや杉の木を使ったような屋根を再現できる、デザイン性が高いアスファルトシングルです。3つの中では最も耐久性が高く、30年から環境によっては50年以上もちます。①と比べて2倍くらい重いので、どの家にも施工できるわけではありません。トルネードやハリケーン、ひょうなどに強いと言われています。

Meiちゃん

火に強くて耐久性が長く、手軽に直せて安価なアスファルトシングルは、DIY文化が根強いアメリカだからこそ80%も普及したのかな?

【日本】アスファルトシングルの歴史

日本に「アスファルトシングル」が登場するのは1950年頃です。

1954年(昭和29年)、三星アスファルトタイル株式会社(現:田島ルーフィング株式会社)の防水部門が、アメリカから砂付きルーフィングの裁断技術を導入して「三星シングル」の製造を始めました。開発された当初のアスファルトシングルは火に弱く、日本の防火地域や準防火地域では使用ができませんでした。

1981年(昭和56年)に「三星フネンシングル」の製造を開始。ベース材に金属板や金属箔・ガラス繊維を使うなど試行錯誤が繰り返され、1985年には量産が始まりました。

オークリッジプロ

2002年(平成14年)、旭ファイバーグラス株式会社(米オーウェンスコーニング社が設立した、旭硝子株式会社との合併会社)が「オークリッジブランド」のシングル材を販売。米国企業が日本でシングル材を販売するのはこれが初めてでした。

2009年(平成21年)、ニチハ株式会社が「アルマ」を発売しました。

アルマ
三星シングル

2011年(平成23年)、田島ルーフィング株式会社の「三星シングル」がグッドデザイン賞を受賞しました。

現在のアスファルトシングルは、ガラス繊維(グラスファイバー)をベース材に、アスファルトを含浸・コーティングし、砂粒で表面を着色して作るのが主流になっています。ガラス繊維を用いることで、建築基準法の性能規定化で導入された「飛び火試験」で不燃認定を取得することができ、アスファルトシングルは「火に強い」屋根材になりました。

良い点

〇防水性に優れている(メーカー保証は10年ほど)

〇防音性が高く、雨音が気にならない

〇加工がしやすい

〇部分補修ができる

〇軽量のため、耐震性がある

〇割れたり錆びたりしない

〇価格が安い

悪い点

〇表面の石が取れることがある

○定期的なメンテナンスが必要(メーカーは、10~20年以内に塗装又は重ね葺きを勧めている)

〇取れた石が樋に詰まる場合がある

〇コケやカビが生えやすい

〇強風でめくれたり剥がれたりする恐れがある

Meiちゃん

日本のアスファルトシングルは、アメリカみたいに「形」で性能が区別されることはないみたいだよ